ホナミの研究日記 -3匹目- テーマは決まったが・・・

ホナミの研究日記 -3匹目- テーマは決まったが・・・

 早速・・・「幼虫のいるビンの餌はべちゃべちゃっと粥状になっていたのに対し、幼虫のいない成虫だけのビンの餌はそのような変化はみられない・・・どうしてだろう?」という疑問を解決すべく研究を始めた。私はこの疑問に対して、仮説を立ててみた。→「餌がべちゃべちゃするのは、幼虫が唾液を体外に分泌しているからではないか?」要するによだれをたらした赤ちゃんってことかなぁ?

そこで、私は幼虫が本当に唾液を体外に分泌しているか観察してみることにした。わずか3~4ミリほどの幼虫を肉眼で観察してもよくわからなかったので、学校にあった実体顕微鏡で見てみた。それはもうダイナミックッッ!!!不思議にも幼虫の動きは見ていて飽きなかった(笑)ので、ただひたすら観察した。しかし一向に唾液を出している様子は見えてこなかった。直接確認することは不可能だとわかった私は間接的に唾液を検出しようと思った。

 唾液といえば・・・アミラーゼ!!!高校の先生から紹介された大学の先生が以前ハエの幼虫の唾液にアミラーゼが含まれているという文献があるということを教えて下さっていたのだ。私はこれだー!!と思い、幼虫の食べた跡からアミラーゼを検出することを試みた。アミラーゼと聞くとヨウ素デンプン反応が反射的に思い浮かんだ。そう、中学校の授業で習った内容がこんなところで役に立ったのだ。早速、ヨウ素デンプン反応を使うことにした。幼虫をご飯粒の中に入れて、しばらく経ってからヨウ素液を滴下してみたり、餌にあらかじめヨウ素液を混ぜておいて、その中に幼虫を入れたり、デンプンを入れた寒天に幼虫を置き、その後ヨウ素液を滴下したり・・・。いろいろ試したが、なかなかうまくいかず、時間だけが過ぎていった。焦りと不安と投げ出したい気持ちでいっぱいだった。生物室の片隅でメソメソすることもあった。あんなに解決したいと思っていたのに・・・次失敗したらテーマを変えようとまで考えていた。最後になるかもと思いながら、私はデンプンの入った寒天にヨウ素液も混ぜてしまい、その青い寒天の上に幼虫を放し、家に帰った。次の日・・・あれっ!?幼虫がいない寒天は青いままなのに、幼虫を放した寒天の色が消えている!デンプンが分解されたことが示され、幼虫が体外に唾液を分泌したことが立証されたのだ。きゃーっ!!私は嬉しさのあまり生物室を走り回った。味わったことのない嬉しさだった。

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