ふとした疑問から世界の舞台へ
磯村 梓
一般的に日本の高校生は大学の受験勉強に忙しく、何か一つの事に取り込める時間が少ないと感じます。そんな中で、私は高校で研究を出来るという恵まれた環境にあったのは幸運でした。私の研究は、元々興味があって始めたというわけではなく、「こういうものがあったら便利ではないか」という問題発見から始まりました。そのため、問題解決に必要な知識を得るために一から勉強をしました。私はコンピュータが得意ではなかったので、その研究のために新しい知識を導入するのは大変でした。しかし、逆に新しいものだからこそ楽しんで出来たというのも事実です。
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磯村さん(中央) Intel ISEF表彰式にて |
そのような自分の研究の成果が日本学生科学賞で評価され、さらにはその研究を海外で発表できる機会を得られた事は私にとって素晴らしい体験となり、また糧ともなりました。特に Intel ISEFでは世界40ヶ国から集まる高校生による幅広い分野の研究を見ることが出来、私もそんな人たちの一員になれたという事が、自分の視野を広げるきっかけとなりました。さらに、世界には研究内容においてレベルの高い高校生が大勢いるという事に驚嘆しました。そこからIntel ISEFはまさに将来科学の蘊奥(うんおう)を究める人たちの登竜門であるように感じました。
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研究の説明をする磯村さん Intel ISEFの一般公開日にて |
一方で、私は Intel ISEFに参加したことで科学を研究する人たちへの意識も変わりました。これまで、このような研究に取り組む人たちはとても近づきにくいという偏見がありましたが、そのような固定観念は一掃されました。Intel ISEFの雰囲気は私の想像した堅苦しい「科学のコンテスト」ではなく、終始祭りのようでとても楽しかったです。国際的な「科学のオリンピック」という事で、賞を受賞できることに越した事はありませんが、あの雰囲気を味わえるだけでも十分に参加する意義はあると実感しました。
このように、私は自分の研究を通して貴重な経験をする事ができました。準備過程は大変なものでしたが、終わってみればその苦労も忘れるほどの充実した体験を味わえたと思います。このような科学自由研究を通じて得た経験を将来何らかの形で活かしていきたいと思っています。
(いそむら あずさ:2003年日本学生科学賞ソリューション部門文部大臣賞、2004年Intel ISEF 中国科学技術協会賞)