貴重な体験をしたプラナリア研究

 

貴重な体験をしたプラナリア研究

下山 せいら

 私の高校生活はプラナリアの研究一色でした。
自宅でも飼育していたプラナリアの研究をしたいと生物部に入部し、顧問の先生に相談するところから始まりました。プラナリアは再生実験で有名ですが人と違ったことをということで、摂食行動について実験を始めました。
仮説を立てて実験を繰り返すうちにどんどんアイディアが浮かんできました。新しい実験をするためには知識も必要です。本を読んだり、インターネットで調べたり、大学の先生に質問したり、やればやるほど疑問が湧いて楽しくてたまらなくなって来ました。私の高校は私が入学した年にスーパーサイエンスハイスクールに指定されたため、研究する時間はたくさんありましたし校内でプレゼンテーション、ポスターセッションの練習もあって環境的にも恵まれていました。自分が興味を持ったことを研究するので、毎日帰宅が遅くなりさらに家でデータをまとめていたので睡眠時間も減って大変でしたが夢中で取り組みました。

発表用ポスター前にて

県の予選で賞をいただいて日本学生科学賞に2年連続で出られたことはとても励みになり、ますます研究が好きになりました。2年目の日本学生科学賞に向けて実験していた時、プラナリアが餌に含まれる微量のグリコーゲンに反応して摂食行動をおこすことを発見しました。プラナリアの餌は鶏レバーです。初めはアミノ酸ではないかと仮説を立て、19種類のアミノ酸で実験しました。それからレバーに含まれているものを数々の実験で絞っていきました。そしてグリコーゲンに反応した時には一緒に実験していた友達と飛び上がって喜びました。偉い先生たちだけが世界的発見をするわけではありません。目線が違うからこそ出来ることもあるのです。

そしてアメリカで毎年開催されている科学自由研究の国際大会 Intel ISEFの日本代表に選ばれたのです。その準備にはたくさんの方々が協力してくださり、皆自分のことのように一生懸命手伝ってくれることにも感激しました。アメリカでは開会式から驚きの連続でした。みんなフレンドリーでお祭りのようにイベントがたくさんあり1週間があっという間でした。審査は審査員が一人ずつ回ってきて研究内容を簡単に英語で説明し、質疑応答があります。緊張で英語も思うように出ません。でもプラナリアが好きで研究が楽しくてたまらないと言う気持ちは伝わったようでした。ですから動物学部門1位と呼ばれた時には頭が真っ白で、なぜか相棒プラナリアのぬいぐるみを連れて飛んで行ってしまいました。中国科学技術協会賞では夏休みにマカオで発表できる副賞があり、たった一人で海外に行けたことも自信になりました。

下山さん(右から2番目)
Intel ISEF表彰式にて

こんな貴重な体験は二度とないでしょう。プラナリアに出会い、熱心に指導してくださった先生方、たくさんの方に手伝っていただき受賞した経験は一生の宝物です。世の中には知らなくて楽しそうなことがたくさんあります。学校で教えてくれるのは一部でしかないのです。みなさんも好きなものをみつけたらとことん調べてみてください。好きなことのためなら頑張ることが出来るはずです。

(しもやま せいら:2005年日本学生科学賞文部科学大臣賞、2006年Intel ISEF 動物学部門1位、中国科学技術協会賞)