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成長を実感できる科学自由研究-指導者の心がけ-

成長を実感できる科学自由研究-指導者の心がけ-

長谷川 仁子 (NPO法人日本サイエンスサービス)

 理科教育の本質を考えるとき、科学研究の果たす役割はとくに大きいものがあります。科学自由研究への取り組みを通して、これに寄り添うとき、私達は子供達の成長を明らかに実感できるからなのです。
まず、論理的な言葉を発するようになれるでしょう。観察や疑問から、何かを知りたいと研究に取り組んだプロセスそのものが、論理的でなくては研究活動は進まないものですね。小さな疑問から、一つ目の実験や観察、そして二つ目の実験や観察へと進むそこに、子供達の論理が隠されているわけです。
次に、書く力が向上するでしょう。記録にとどめる試みからスケッチも含めて、それをまとめる作業は大切な要素です。書くという行為でまとめることは、大人でも大変な作業ですが、人に伝えるためのまとめだけではなく、自分自身の研究を多面的に深く理解することや、わかりやすい表現法を身に付ける点で、書く力が大いに身に付くわけです。
次に指導者から話を聞く力があがるでしょう。自分の取り組んだ研究は自分にとっては何よりも大切なものですね。自分のうちから出る疑問をもっと知りたいという思いは誰もが持っているものです。また、研究を通してその道のプロから相通じる話が聞けたり、分かち合える疑問があるなどという話が聞けたら、これは楽しくてたまりませんね。
さらに、人に説明する力がつくのです。自分だけが知り得た観察の内容や湧き出る疑問、発見を人に説明したくなる、これは当然のことですね。プレゼンテーションは、人前で発表する厳しいものだととらえがちですが、本来は、最も伝えたい内容を解りやすく口頭で説明し、これをもとに聴講者との意見の交換が生まれ、より研究がふくらむものであってほしいものです。
最後に、先生や指導者の指導やアドバイス、レポートの指導を受けて、より洗練された科学的思考を高めることができるのです。おわかりのように、科学自由研究は総合的な力を高めるものにほかなりません。そして指導者自身が子供達と共に学び、育てられる絶好の機会であるでしょう。

指導者としてこうありたい

・基礎的な知識・体験・仮説を豊かに持とう。そして子供達に持たせよう。
・理論的な思考の練習を心がけよう。そして子供達に積極的に練習させよう。
・実証のためのノウハウを獲得し、それを子供達に伝えよう。
・その取り組みの価値を認識し、共有しよう。
・自然との付き合い方を学び、広く知らせていこう。
・主役は常に子供達であることを忘れないようにしよう。

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